古民家の耐震補強方法について解説します!
2023/06/02
古民家を検討している方にとって、悩みの種ともいえる耐震問題。
一般的に、古民家は耐震診断で低評価を出されることが多く、現在の耐震基準を満たすために耐震補強が必要になるケースがほとんどです。
では、耐震補強をする場所や方法はどのようになっているのでしょうか。
今回は、古民家の耐震補強について解説します。
□古民家は地震に弱い?
最初に申し上げておきたいのは、「古民家が地震に弱い」という表現は語弊があるということです。
特に1950年以前の伝統工法によって建てられた古民家の場合には、この表現はあまり当てはまりません。
当時の家屋における地震への対処法は、現代主流の「耐震」ではなく「免震」や「制振」。
つまり、家と地面とを離すことで地震の力を逃がし、柱が曲がったり壁が崩れたりすることで地震の力を吸収することを目的としていたのです。
そのため、現代の工法のように「筋交い」がなく、金属やボルトもあまり使いません。
あえて家を揺らすことで、地震の力を分散させているのが伝統工法の古民家なのです。
したがって、耐震診断では低評価となり、耐震補強が必要になるケースが多くあります。
しかし、全ての古民家に言及できるわけではありません。
建築基準法が成立した1950年以降に建てられた古民家は、伝統工法には該当せず、現代の新しい建築基準法にも適合しない中途半端な家屋です。
いわゆる「過渡期」の古民家は、現代と同じ「耐震」を目的とした家屋ではあるものの、現代よりも基準が低いため、地震に弱いと表現されることがあります。
伝統工法の古民家と同様に耐震補強も必要になるでしょう。
古民家を検討する際は、建てられた年代や工法に着目すると、その古民家の特徴や耐震補強の必要性がおわかりいただけます。
□古民家の耐震補強方法
それでは、実際に耐震補強をするとなった場合には、どのような方法で実現するのでしょうか。
大きく分けると5つのステップで進められます。
1.地盤や基礎を補強する
まずはじめに、建物の基盤となる地盤や基礎を補強します。
伝統工法で建てられている古民家の場合には、基礎がないことが多いため、曳家(ひきや)やジャッキアップをして固めます。
※曳家(曳屋):家をそのまま別の場所へ移動すること
※ジャッキアップ:家を垂直に持ち上げること
2.柱を補強する
前述のように、古民家には柱を支える役割を持つ「筋交い」がありません。
柱と柱の間を斜めにかけるように、筋交いを設置して補強します。
3.耐力壁を設置する
柱や梁の間の補強をするために、耐力壁を設置します。
耐力壁は水平方向の力から建物を支える役割を持っており、耐震補強では欠かせません。
ただ設置数が多ければ良いというわけではなく、バランス良く配置することが求められます。
4.屋根を軽くする
古民家には土葺きの瓦屋根を使用していることが多くあり、これは「免震」や「制振」から見ると相性の良い組み合わせです。
しかし、現代の「耐震性」の面から見ると重すぎる場合があり、耐震補強の際に屋根の軽量化を試みることがあります。
その場合には、土を使わない瓦屋根スレートやアスファルトシングル、ガルバリウム鋼板など、屋根の素材や工法を変えることで対策します。
5.腐食やシロアリの対策を施す
腐食やシロアリは家屋にとって大敵、耐震性の観点から見ても強度を一段と落としてしまう原因の1つです。
地震で崩壊する多くの建物はこうしたコンディションの悪いケースが多く、耐震補強の際にしっかり見直しが行われます。
特に古民家は、腐食やシロアリによる影響が生じていることも多いため、再発しないように対策を練らなければなりません。
◻︎まとめ
耐震補強は「地震に弱いからやる」というイメージがありますが、伝統工法の古民家は一概に「地震に弱い」とはいえない部分があります。
とはいえ、現代の基準における耐震性能に及ばない部分があることは事実なため、耐震補強が必要になるケースがほとんどであると押さえておきましょう。
また、現代の耐震基準では伝統工法の石場立て等は国が認めていないので、補助金を使う場合は基礎を作り筋交いや面材での補強が必須になります。
当社は、古民家鑑定士と呼ばれる古民家の専門家を携えて、古民家再生を施しています。
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