【要注意】リフォームできない古民家があることをご存知ですか？

時間の流れがゆっくりと感じられる縁側、当時の意匠を感じられる太い梁や大黒柱、重厚感のある唯一無二の雰囲気など、古き良き時代を感じられる古民家には様々な魅力があります。
こうした魅力に惹かれて、古民家物件を購入してリフォームやリノベーションを行う”古民家暮らし”をスタートさせる方が増え、今や古民家はブームの真っ只中です。
しかし、そのような方に注意していただきたいのが、リフォームできない古民家があることについて。
下手をすれば夢見ていたような暮らしを実現できない可能性もあるので、必ずチェックしておきましょう。
今回は、再建築不可の古民家についてご紹介します。

 

□再建築不可の古民家はリフォームできないことがある

「再建築不可」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
そのままの意味で「再建築ができない」ということを意味しているのですが、古民家の中にはこの再建築不可物件が多くある点に注意しなければなりません。

具体的にどのような物件が再建築不可になるかというと、大きく4つの定義に分類されます。

・上空に17万ボルト以上の高圧線が通っている
・現在の建築基準法を満たしていない
・市街化調整区域内にある
・接道義務を満たしていない

これらの内1つでも当てはまっていれば、その物件は再建築不可ということになります。
一見「再建築ができないだけなのだからリフォームは問題ないのでは」と思われるかもしれませんが、実際はそうではありません。

再建築不可の古民家は、法の義務を満たしていないことから「建築確認」を受けることができないためです。
たとえ行う工事がリフォームであっても、大掛かりなリフォームになると建築確認が必要になります。
したがって、再建築不可の古民家では「建築確認申請が不要な範囲内」でしかリフォームを行えません。

（※延べ面積500㎡以下・2階建て以下・高さ13m以下・軒の高さ9m以下の木造建築の場合は、フルリフォームが可能な場合があります。）

 

□どこまでのリフォームなら可能？

前述のように、再建築不可の古民家は「建築確認申請が不要な範囲」という一定の条件下でしかリフォームを行うことができません。
では、どこまでのリフォームなら実現可能なのでしょうか。

 

＊増築は可能？

延べ床面積を増やすような増築の工事は、再建築不可物件では実現が難しいでしょう。
「増築は10㎡未満であれば確認申請はいらない」とされることもありますが、防火地域や準防火地域に指定されている場合には確認申請が必要になります。
基本的に増築はできないと考えておくのがおすすめです。

 

＊改築は可能？

改築も行うことはできません。
ただ注意しておきたいのは、建築基準法における「改築」と世間一般における「改築」への認識には違いがあるという点です。
ここでいう建築基準法における「改築」とは、解体したり一部撤去して建て直したりすることを指します。
そのため、リフォームでも「建築確認が不要な範囲」であれば工事は可能です。

 

＊1/2以上の修繕や模様替えもできない

修繕とはいわゆる原状回復、模様替えとは性能の向上を目的とした工事のことです。
壁・床・柱・屋根・梁・階段といった主要部分を全体の1/2種類以上手を加える場合、大規模な修繕や模様替えと判断されるため、建築確認申請が必要になります。
この点は判断が難しい部分もありますので、リフォーム会社などの専門家と相談しながら確認しておくと安心です。

（※延べ面積500㎡以下・2階建て以下・高さ13m以下・軒の高さ9m以下の木造建築の場合は、フルリフォームが可能な場合があります。）

 

□まとめ

今回ご紹介したように、再建築不可の古民家には様々な制約が付き纏います。
基本的には建築確認申請が不要な範囲内でしかリフォームができないため、新築同然に綺麗な状態にすることは難しい場合が多いでしょう。
ただ、その点の判断については難しい部分があるため、専門家と相談しながら進めていくことをおすすめします。